第20回 今さら聞けない(今だからこそ聞こう)コロナウイルス検査。 ~抗原検査とPCR検査何が違うの?~(その1)
コロナウイルスが日本上陸して早3年目に突入しました。第5波までは東京・大阪を中心とした都市部、沖縄や北海道といった観光地に流行は比較的限局していたため、ニュースを見ながら人ごとのように見ていた方々もいらっしゃったと思います。現在は日本全国に流行が広がっている為、自分や家族に風邪症状があると心配になり医療機関で検査を希望する方が増えている印象です。しかし、多くの方が検査についての十分な知識がないため、何をどうすればよいのかわからない方が日常的に見て取れます。
そこで、今さら聞けないではなく、今だからこそ聞こうコロナウイルス検査という話の本題となります。まず、ウイルスの説明です。ウイルスは非常に小さな生物で、病気を起こすバイ菌(溶連菌、肺炎球菌、O-157大腸菌)がゾウの大きさとするとどんな種類のウイルスもアリぐらいの大きさです。非常に小さなウイルスは発見をするのは至難の業です。広い広場でも像はたやすく見つけられますが、数匹のアリを発見するのはむつかしいです。でもそんなアリでも暫らく時間がたてばアリ塚と呼ばれる巣を作れば数も増えており発見が容易になります。ウイルス検査も一緒です。PCR検査であろうと抗原検査であろうとウイルスが体内に侵入してからしばらく時間がたたないと検査で陽性になりません。でも、ウイルスの見つける方法が異なるため、その待ち時間の長短が出てきます。
ウイルスの体の構造はガチャガチャ(カプセルトイ)と同じです。カプシドと呼ばれる天然のプラスチックの殻の中にDNAと言われる大事な宝物が入っているのです。抗原検査は天然プラスチックの殻を見つけ出す検査であり、PCR検査は中身の大事な宝物DNAを見つける検査です。同じウイルスを見つける検査ですが、見つける対象が異なるため当然手順や時間が異なってきます。抗原検査では完全なカプセルが多数そろっていれば(生きたウイルスが多数いれば)反応もよく、短時間での検査も信ぴょう性が高い検査です。一方でPCR検査は中身のおもちゃが少数であってもそのおもちゃの型取りを行い、複製を行った後に検査を行いそのおもちゃがプリキュアのおもちゃか、鬼滅の刃のおもちゃかを判別するため、検査に半日から1日と時間はかかりますが、少ないウイルス量、死んでしまったウイルス(カプセルのない中身のみ)でも検査は可能となります。
それではどちらの検査が良いのか?多くの方がPCR検査が優れていると声をそろえて言いますが、それは場合によりけりで、次回はどういった時にどちらの検査が有効か、どちらが優れているのかを説明します。(その2へ続く)
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