第21回 今さら聞けない(今だからこそ聞こう)コロナウイルス検査。 ~抗原検査とPCR検査どちらが良いの?~(その2)
前回のコロナウイルス検査についてのおさらいをしたいと思います。
- 病気を起こすバイ菌がゾウの大きさとすると、コロナウイルスはアリぐらいの大きさで発見をするのは至難の業。
- ウイルスの体の構造はガチャガチャ(カプセルトイ)と同じで、天然のプラスチックの殻の中にDNAと言われる大事な宝物が入っている。
- 抗原検査は生きたウイルスの天然プラスチック殻を見つけ出す検査であり、PCR検査は中身の大事な宝物DNAを複製して見つける検査です。
抗原検査の特徴として、安価に生きたウイルスをその場で10-15分という短時間で多人数の患者さんに対して判断することができる優れた検査です。一方で生きたウイルスが体内で増えるのを待って行わなければ、信ぴょう性のある検査ができない点が弱点です。
PCR検査は検査料金が高く、検査開始から判定が出るまでの待ち時間が長く、さらに大型の機械が必要な為、検査会場で検査が行えない場合は郵送する時間を加味すると半日~1日以上かかることもしばしばです。さらに、一度に多数の検査を行うことができない為、検査順番待ちとなると結果判定までの時間が更にかかります。しかし、ウイルスDNAの一部でもあれば複製して判定するため、非常に少量の死んだウイルスでも見つけることができます。結局、両者の違いは体の中で増えるのを待つのか、機械の中で増やすかの違いです。
どちらの検査も利点と欠点があるため、使い方を誤らないようにする必要があります。抗原検査を有効な検査とするカギは症状出現から検査開始の時間にあります。発熱のない強い咳や喉の痛みでは24時間以上、38℃以上の発熱では少なくとも12時間(できれば24時間)たてば、陽性・陰性ともかなりの正確さを持っています。夜間の急な発熱、皆様すぐに検査を受けたいですよね、PCR検査ならば症状発現時の検査で陽性と出るかもしれません。しかし、翌日の朝に検査ができても、会場、曜日によっては郵送対応等の為、結果は検査から翌々日にわかるかもしれません、発熱の翌日夕方頃であれば発熱から12-18時間は経過しているため、抗原検査を受ければその場で陽性が判明することとなります。
現在の全国的な流行状況では、PCR検査は一杯で症状のある患者様にとっては判定まで時間がかかり、対応が遅れることもあります。現状ではPCR検査は無症状の濃厚接触者に対して適応があるものと考えます。症状のある患者様は12-24時間待って医療機関等で抗原検査を受けるのが早道です。また、抗原検査の別な使い道として、生きたウイルスを判定しているため、検査時点での他人に対する感染力がある程度判定できます。イベントに参加直前に陰性であれば、少なくとも当日は他人に迷惑をかけることなくイベントに参加できるのではないでしょうか?
(*)保険や国費を使用しての検査の適応は各医療機関、担当医が判断します。必ずしも患者様の希望で検査適応は決まりませんのでご理解下さい。
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