第27回 発作性心房細動とその治療について① ~心臓病講義シリーズ その1~
[2023.03.02]
今回は心臓病の一つ発作性心房細動について説明します。発作性心房細動は不整脈といわれる心臓病のカテゴリーに入る病気です。どのような病気かはその名前を見れば想像がつきます。
発作性:時々起こる、
心房:心臓にある4つのお部屋のうち左心房という場所で起こる、
細動:定期的に左心房がしっかりと収縮するリズムがプルプル震えるだけの動きになった。
という病気です。では、どんな症状が出てくるのでしょうか?実のところ症状は千差万別で無症状の人から、失神、胸痛、動悸と様々な症状が出ることから症状からは診断しにくいのが現状です。
では、発作性心房細動を放置すればどんなことが起こるのでしょうか?起こりえることは2つ考えられます。
- 発作性心房細動が起こっているときは、心臓から体に送られる血液量が減り、送り届けられなかった血液の一部が左心房に貯留して固まります(血栓の形成)。その血栓が心臓から飛び出て脳に送られ脳の血管を詰まらせ脳梗塞を引き起こします。発作時間が短ければ血栓は形成されませんが、発作時間が長くなるのは要注意です。
- 発作性心房細動が無治療であれば、発作時間や発症頻度が増えていき、いずれは慢性心房細動(いつも心房細動)の状態となります。慢性心房細動の状態は、心臓から体に送り届ける血液量が減ることから、送り届けられない血液が左心房のみならず、肺の血管に溜まり、肺に水が染み出し息苦しいと常に感じる心不全という状態になります。
上記のような恐ろしいことが起こる発作性心房細動は早めの治療を必要とされる病気です。発作性心房細動が起こった際に無症状な人よりも症状が強く出る人のほうが早期治療につながることから考え方によっては幸せなのかもしれません。
次回は発作性心房細動の治療についてお話ししたいと思います。
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