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第24回 健康診断で血糖値の高い方へ ~将来の糖尿病、インスリン注射を回避するには!その1~

[2022.09.19]

今年も会社健診、住民健診等を済ませた方も多いと思います。各種健診の必須項目に尿糖、血糖値、ヘモグロビンA1cがあります。これらの項目が異常値であれば、糖尿病の疑いありとして医療機関での精査を勧められます。その時皆さんは思いますよね、「私、普通の生活しているのに・・・。そんなに甘いものも食べていないのに・・・。」そう!皆さんは普通の生活をしているのです。何も悪いことはしていません。では何故、年々血糖値が上昇してくるのでしょうか?糖尿病にどんどん近づいて行くのでしょうか?その答えがわかれば将来の糖尿病、インスリン注射を回避できます。

その答えの一つを例え話でお話いたします。現在、日本は食糧輸入国です。毎日各地の港に海外から小麦、大豆、砂糖、トウモロコシ、果物といった食糧が船によって運ばれてきています。また、日本近郊の海で取れた海産物も到着し、港に陸揚げされた食料品・海産物は、トラックやフォークリフトを使って港近郊の倉庫に一時保管されます。その後に巨大倉庫より食品加工工場や外食産業へ必要な分を配分していくこととなります。この当たり前の港の機能が人間の血糖コントロールそのものの機能です。

人間は体の中でエネルギーを作ることができない食糧輸入国です。日々の活動と成長に必要なエネルギーを食べることで得ています。食べられた食品は栄養素に分解され血液の流れの中、つまり海上の船に積み込まれた状態で体中をめぐり栄養を必要としている港に運ばれるのです。港に待ち受けるトラックとフォークリフトは人間の体の中にあるインスリンといわれるホルモンです。そして港近郊の倉庫群は我々の筋肉がそれにあたります。インスリンは血液中から筋肉に糖分を運ぶ働きをして、筋肉は我々が運動する為にあるだけでなく、血糖値をコントロールする流通のかなめの倉庫群として働いています。もし港に倉庫が僅かしかなければどういったことが起こるでしょうか?到着した船の荷卸が進まず、いかにトラックとフォークリフト(インスリン)が頑張っても持っていく先がなければどうしようもありません。港は船であふれかえり、ついには海に荷物を不法投棄する船まで出てくることとなるでしょう。海上交通は阻害され、流通がストップしてその地域は人が住めなくなります。これが血管の動脈硬化と血管の閉塞による脳梗塞、心筋梗塞の状態です。

つまり、普通の生活をして甘いものも食べずに病気もしていないのに血糖値が年々上昇してきている背景には体の中の血糖倉庫群である筋肉量が不足してきていることが一番の原因と考えてよいでしょう。

現在コロナウイルス対策として外出の自粛を行われている方も多いかと思いますが、筋肉量を維持することも将来を見越して大事であることをご理解いただけたでしょうか?次回は筋肉量を維持する方法や糖尿病治療に関してお話を続けたいと思います。

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