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第4回 感染症「水疱瘡」高橋先生ありがとう

[2021.10.25]

今回は、感染症のお話です。最近、水痘の患者様を久しぶりに診断・治療しました。2014年水痘ワクチンが定期接種(公費負担)となり、1-3歳の小児の接種率が上昇した為、めっきりと外来診察で出会うことがなくなりました。このままいけば、麻疹(はしか)と同様、海外からの輸入感染症以外は国内発症が見られなく日も近いでしょう。子ども達や保護者様、小児医療関係者に多くの恩恵のある水痘ワクチンですが、実は1973年に大阪大学医学部教授 高橋理明先生によって開発された純国産ワクチンです。WHO(世界保健機構)も安全性と効果を認め、世界で使用される優れたワクチンです。高橋先生が亡くなられた2013年にはその偉業を称えてアメリカではニューヨークタイムズ紙に大々的に哀悼記事が掲載されました。

水痘は発熱と同時に体を中心として口腔内を含む全身に出現する水疱を持つ1-2cmの辺縁やや不鮮明な赤い発疹が特徴です。咳・鼻水も伴い、それを介して非常に感染力の強い感染症です。もし、ワクチンを受けていない1歳未満の保育園のクラスで発症すれば3週間の後(潜伏期間)、クラス全員がまず間違いなく発症すると考えられます。小児で発熱は3-5日程度高熱が続きますが、大人は症状が非常に強くそれ以上と考えてください。皮疹の程度も大人では強く出現します。小児に対する水痘ワクチンは子供たちを守るだけでなく、1歳未満の乳児、免疫のない大人も守ってくれているのです。水痘ワクチン開発前では死亡例も珍しくなく、ワクチン接種後の死亡例は極々稀となっています。水痘を発症した後でも有効な内服・点滴薬が開発されており(エリオン先生、ヒッチング先生)、ワクチンの長期効果と発症後の治療薬の有無が現在のコロナウイルスとの戦いと大きく違うところだと思います。ワクチン・治療薬開発に携わられた高橋理明先生をはじめエリオン先生、ヒッチング先生、多くのスタッフの方々に改めまして「ありがとう!」。

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