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第16回 貧血は悪い魔女の魔法!白雪姫にみる貧血の実際

[2022.02.14]

お医者さんの仕事に産業医という仕事があります。企業で働く人々の健康を守るのが主な仕事ですが、毎年の企業健診の結果にも必ず目を通して、就労可能かどうかの判断もします。その際に女性の貧血を多く見ますが、皆さん治療等は行わずに放置されている方が大多数です。今回は貧血の恐ろしさをここで解説します。

まず、貧血という病名の誤解から説明します。医療従事者が使う貧血という病名は血液の濃度が薄くなっている状態を指す病名です。一般の方がしばしば口に出す貧血は立ち眩みや低血圧症のことが多いようです。その為、一時的な立ち眩みは無害なものとお考えではないでしょうか?貧血は立派な病気です。放置すれば恐ろしい結果が待ち受けます。

白雪姫のおとぎ話を思い出してください。ある国で悪い魔女が継母・王妃様としてやってきます。本来の王妃の娘である白雪姫の髪は黒々として肌は白く、頬はピンクに色づき・唇は真っ赤なリンゴのような美しい王女です。一方で継母王妃は肌は白くて美しいが、唇は紫色で目の周りはアイシャドウを塗ったような影があり、冷たい感じのする女性です。魔法の鏡が白雪姫の方が美しいと言ったところ、狩人に命じて白雪姫を森の奥で殺そうとします。狩人の気転で森の奥で7人の小人と生活を始める白雪姫ですが、継母王妃は自分に魔法をかけて老婆に変身して白雪姫を殺そうとします。この魔法がかかった老婆の姿こそ貧血の最終結果の姿です。血液の濃さはヘモグロビンと言われる赤い血液の色素量で評価します。ヘモグロビンは酸素を体の隅々まで運ぶ役割を担っています。これが少ないと、体のすべての細胞が酸素不足に陥ります。人間の体は特に頭・心臓等の重要な部分に血液・酸素を運ぶため切り捨てられる場所は髪の毛、肌、筋肉、胃腸の順で酸素供給が少なくなります。そうすると髪の毛は白髪となり抜け落ち、肌は一時的に白くなりますが、その後乾燥してカサカサして、色黒くなってきます、筋肉が萎縮していき、肌にはしわが目立ち始め、腰が曲がり歩くのも息が切れてよたよたと歩くこととなります。胃腸の動きが悪くなれば、便秘や消化不良に伴う下痢、不快感に伴う食思不振により栄誉障害が起こり、悪い魔女の魔法がかかった老婆の姿となるのです。

一方で白雪姫のお顔を思い出してください。頬はピンク・口唇は真っ赤、これは十分なヘモグロビンがある女性の特徴です。さらに髪は黒々としており、健康な毛根が酸素を十分に与えられている状態です。つまり魔法の鏡は継母王妃と白雪姫のヘモグロビン量をもとに美しさの判断をしているものと考えられます。

世の中の女性が美しくありたいと思う気持ちは尊重したいと思いますが、まずは貧血の治療を優先していただければ最短の道ではないかと思います。

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