第26回 現在の糖尿病治療薬 ~将来の糖尿病、インスリン注射を回避するには!その3~
前々回に引き続き血糖と糖尿病のお話です。まずは復習です。
①人間は体の中でエネルギーを作ることができない日本と同じ食糧輸入国です。
②血液の流れは貨物船を使った海上輸送そのものです。
③食物から得られた栄養素はインスリン(フォークリフト)によって筋肉内(巨大倉庫)に一時保管されます。
④筋肉量が減ると、倉庫に保管できない栄養素が血管の壁に不法投棄されて血管を詰まらせます(動脈硬化)。
⑤運動療法は筋肉量の増加による血糖の保管場所を新たに確保することが目的の一つ。
現在の糖尿病治療では上記①から⑤までのプロセスのいずれかに作用する治療を行います。
食事療法は①食糧輸入量を制限します。腸管からの糖分の吸収をゆっくりとするα-GI(グルコバイ、ベイスン等)毎食前に飲む薬は②をコントロールします。③の港に到着した血糖を倉庫に運ぶフォークリフトの台数を増やすのが、インスリン皮下注射やグルファスト、スターシスといった食直前に内服する薬です。食後に内服する薬でもDPP-4阻害薬、オイグルコン等のSU剤もインスリン量を増やします。③に関連してインスリン量は増やしませんが、インスリンの効果を上昇させるアクトス、メトホルミンといった内服も使用できます。これらの薬はフォークリフトを運転する運転手の技量をあげる訓練のような薬です。②に関連しますが、港に到着前に腎臓より、血液中の糖分を捨ててしまうSGL阻害薬(スーグラ等)も最近発売されています。糖尿病を原因とした動脈硬化の治療目的でバイアスピリンやプラビックスといった内服をしていれば、④に対する治療です。最後に前回紹介した運動療法が⑤となっています。
もし、糖尿病関連の治療を受けておられるならば、現在の自分が体にどんな問題があって、①~⑤どの段階の治療を受けているのかを知っておくことが、大切になってきます。ただ漫然と治療を受けるのではなく、御自身の身体の問題点をはっきりとして目的を持って治療にあたってください。同じ治療を受けてもご本人のやる気と理解が治療効果をあげてくれることでしょう。
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