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第10回 中性脂肪(TG)について、体の脱炭素化に向けて我々ができること

[2021.12.06]

前回までのあらすじ、LDLコレステロールが悪玉コレステロール、HDLコレステロールが善玉コレステロールと紹介されていますが実は体の中での役割が違うだけで、肝臓におけるLDL生産をコントロールすればよいことをお話しました。今回は中性脂肪(TG)についてお話します。

中性脂肪は例えて言うならば日本が海外より輸入する原油と思ってください。日本は原油を世界各国から輸入して、原油を精製し燃料としてストーブ、車、船、機関車、発電所を動かし、原材料として多数の石油製品・建築資材をも作っています。食事として摂取された糖質や脂質は肝臓に運ばれて中性脂肪となります(原油の精製)。中性脂肪は非常に栄養価が高く、保存にも適しているため体の隅々に運ばれて内臓脂肪・皮下脂肪として貯蓄されます(石油備蓄)。中性脂肪はそこから体を動かすエネルギー(ガソリン)を使えば、LDLコレステロールへと変化します(石油製品・建築資材の生産)つまり中性脂肪は万能のコレステロールなのです。

中性脂肪は食事の影響を受けやすく、内服治療より食生活や飲酒習慣の改善を行うことが最も効果的な治療となります。つまり、原油の輸入量を減らせば脱炭素化に一歩近づくのと同じことです。LDLコレステロールの治療でも基本は食事療法と言われますが、中性脂肪がLDLコレステロールの原材料として使われるからです。

コレステロールが気になり医療機関を受診するも内服治療に抵抗のある方は、体の脱炭素化を目指して糖質、脂質、アルコールの制限を、栄養バランスを崩すことなく行うことが必要になります。

中性脂肪の合成を遅らせる薬や小腸におけるコレステロール吸収を抑える薬、糖質を尿中に捨てることによる血糖値の低下によって中性脂肪の合成を抑える薬等、様々な内服薬が開発されていますが、原油が多量に輸入されれば、脱炭素化は進まないということは明らかですね。私も含めて体の脱炭素化を進めていきましょう。

 

院長ブログも早10回となりました。当初の目標20回を目指していきたいと思います。

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