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第11回 猛威を振るう感染性胃腸炎!ご家庭でできること(その1)

[2021.12.13]

  現在、小児成人関係なく感染性胃腸炎が猛威を振るっております。連日、嘔吐や下痢症状を訴えて来院される患者様の数が増えています。病名が示す通り、非情に感染力が強く、家庭内・保育所等、環境を問わず一度に多くの患者様が同時発症している現状があります。原因は嘔吐した吐物や下痢便に含まれる、原因ウイルスによる保育者や保護者の手を介した接触→経口感染です。

  もし、お子さまが嘔吐を始めたらどうされますか?あらかじめ行動を決めておけば、憂いなしです。当院からのおすすめは「お子さまに対しては何も飲ませず、食べさせずに小児科へ!」「汚れた衣服は単独で洗濯後、乾燥機へ!」「汚れた家具や床はハイター!」「トイレとお風呂場のドアノブ・水栓もハイター!」です。

  胃腸炎の原因となるウイルスが鼻や口から胃袋に侵入すると、人間はそれを排除すべく嘔吐を始めます。なるべく嘔吐してウイルスを追い出したい所ですが、胃袋には胃液という液体があります。嘔吐すれば飲食したものと胃液を一緒に体の外に出してしまいます。胃液は我々の血液を原材料として作られる液体ですので、嘔吐すればするほど状態が悪化します。胃が空っぽであれば嘔吐はしませんので(空嘔吐)、飲んだり食べたりさせないのが一番の対応です。一回の嘔吐で入院加療とはなりませんが、嘔吐を4回5回と繰り返せば入院適応となります。脱水が怖いという理由で飲水をさせてしまうケースがありますが、かえって繰り返しの嘔吐に伴い貴重な胃液を失い脱水が進んでしまうケースは全国の小児科医を悩ますこととなります。胃腸炎であれば、嘔吐の開始から約12時間経過すれば嘔吐が自然に治まってくることが期待できます。受診ができない夜間であればそのまま寝かせて体力の温存に努めて、朝一番に小児科を受診して制吐剤座薬の投与や失われた水分の補給(点滴、経口補液法)を始めても決して遅くはありません。寝かせる場合には右を下にして横向きに寝かせます。寝ながら嘔吐した場合に窒息を防ぐため横向きが望ましく、胃袋の出口が右にあるため少しでも内容物を胃から小腸に送り出すために右を下にすることが望ましいです。

そうはいってもお子様の寝相は・・・お察しですね。大人は右を下にして寝ましょう。

次回も感染性胃腸炎のその後を病態に合わせて説明を続けていきたいと思います。

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