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第29回 痛風は年末のトイレ大掃除 ~一年の汚れは日々のケアから~

[2023.12.03]

 2023年もあと少しとなりました。年末年始の休暇を楽しみにされていると思います。しかし、年末年始に痛風発作を起こし救急病院を受診される方も少なくありません。痛風とは「風が当たっても痛い」という強い痛みから名付けられたとの説があるぐらい痛い病気です。痛風はお酒の飲みすぎや、魚卵や肉・魚のたんぱく質といったみんな大好きな食材で起こってくる病気です。皆さんが大好きな食材に含まれる栄養素は体内で最終的には尿酸という化学物質になり、血液の中を流れて最終的に腎臓を経て体外に尿として捨てられていきます。腎臓の機能が弱ったり、美味しいものを過剰摂取することにより血液中の尿酸値が上昇して溢れかえります。あふれかえった尿酸は人間の骨に沈着をしていきます。

皆さん、年末にトイレの大掃除を行うことを思い出してください。便器の便座を上げたときに、黄色の結晶を見たことがありませんか?それこそが尿酸が析出したものとお考え下さい。もちろん他のいろんな物質が混在していますが、尿石と言われ一度ついてしまうとお掃除も厄介です。洗剤をかけても拭いてもなかなか汚れは取れませんよね。トイレと同じ厄介な汚れが骨や関節にできるのが痛風です。綺麗にしたいあまり金たわしで便器をこすればどうなるでしょうか?当然便器が削れたり割れたりします。人間の骨も一緒です。人間の体内に白血球(マクロフォージ)といわれるお掃除屋さんが異物を飲み込んで掃除をしてくれますが、掃除の際に骨を削るようにして掃除をしてしまいます。骨が削られれば、骨折ですから強い痛みが発生してその部分は赤く腫れあがります。つまり痛風とは白血球がトイレの年末大掃除をしているのです。

毎日のトイレ掃除を便座まで上げて行えば、便器に尿石がつくことはないと同様に、健康診断で尿酸が高い方は、医療機関に早期に相談されることをお勧めいたします。年末の大掃除を一気にすることなく日々の掃除を心がけましょう。

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